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- 建物を支える人に会う-
慶應義塾大学アート・センター 渡部葉子教授、本間友氏インタビュー

旧ノグチ・ルーム

慶應義塾大学は創立時から曾禰中條建築事務所、谷口吉郎、槇文彦といった著名な建築家に校舎の設計を依頼してきました。
中でも1951年に竣工した第二研究室内には、谷口吉郎とイサム・ノグチという巨匠のコラボレーションによる談話室
「新萬來舎(ノグチ・ルーム)」が設けられました。
しかし新校舎建設のため、研究室は2003年に解体され、現在は談話室のみが形を変えて移築されています。
その価値を知られることなく次々と建て替えられていく校舎の様子を記録し、
未来へ残すアーカイヴを作成し続けているアート・センターの方々に活動への思いを伺いました。

塾監局

私たちが就任したのは2006年。まず驚いたのは、1998年という早い時期にノグチ・ルーム・アーカイヴが設置されていたにもかかわらず、解体への抑止力にならなかったという事実でした。
大学では2008年の創立150周年を記念して、大規模な校舎の建て替えが計画されていたので、失われる建築について記録を残す必要があると考えて「慶應義塾の建築」プロジェクトを発足させました。
取り壊しに反対することが目的ではなく、学内の全ての建築の記録(写真、図面など)を残すこと、どういう建築なのかを正しく知ってもらうことが目的でした。

南校舎 - 外観

学校はそこで時間を過ごす人数が格段に多い場。建築はただの箱ではなく、一人一人がその中で何かを体験し、思い出を作る場所、いわば「記憶の装置」です。建築そのものを撮った写真だけでなく、使っていた人の記憶を呼び起こす“ユーザーマインド”の記録を残すよう心がけています。
撮影前には可能な限り実際に建物を使っていた方にインタビューしていますが、私たちから見るとなぜここなのかと不思議に思う場所が候補にあがることがあります。
そこで何か特別な出来事があったとか、使い勝手が良くなるように皆で試行錯誤したとか、そういう思い入れのある場所なんですね。学生の授業待ちや喫煙の場であった廊下から見える中庭と大銀杏など、建物から見える景色も記録します。

第一校舎

建築の保存の取り組みは、潜在的に建築に対する意識を高めておかなければ難しい。現在使われている校舎についても、展示会や見学会を開くほか、建築解説資料を作成するなど、ユーザーである学生、教員、職員の建築リテラシーを高める取り組みをしています。
先日、自由見学型の建築公開イベントを初めて行いましたが、これを継続することで学生に建築への視点が養われ、将来にわたって母校の建築に関心を寄せる基盤となればと考えています。

建物撮影:新良太

慶應義塾大学アート・センター
渡部葉子教授、本間友氏
HP:http://art-c.keio.ac.jp/

館内写真

  • 演説館

  • 慶応義塾図書館 旧館

  • 大学院校舎