1. トップ>
  2. - 建物を支える人に会う- ホテルオークラ東京 服部崇氏インタビュー

- 建物を支える人に会う-
ホテルオークラ東京 服部崇氏インタビュー

オリジナル家具を配したロビー

2015年8月、open! architectureは「ホテルオークラ東京本館・建替前の最後の見学会」を開催しました。
応募者は、なんと定員の30倍以上。
この建物がいかに愛されていたかが浮き彫りになりました。
当日ご案内下さったのは同館ホテルマンの服部崇氏。
建物ももちろん素晴らしかったが、服部さんのホテルへの愛着と誇りに感動した、と多くの参加者が口を揃えた見学会となりました。
改めて服部さんの想いを伺いました。

江戸小紋を模したファサード

本館建替え前に建物をよくご覧いただき、皆様の記憶にとどめて頂ければと願ってガイドを引き受けました。
あの本館は本当に何においても「別格」で、随所にご紹介すべきポイントが溢れていたと思います。
名工の手による細やかな設え、当館オリジナルの装飾、お庭なども見所です。
また、館内の構成の一例ですが、客室の廊下に面する扉は、対面する客室のお客様同士の視線がかち合わないように配置をずらしています。
こうした配慮やこだわりは、目を見張るものばかりです。
竣工したのは60年代で私が入社する前のことですが、当時の設計チームの意気込みがひしひしと伝わってくる建物でした。
私はこれまで、社員がいつでもご案内できるようにと、「Something about Okura」と題し、ホテルや建物の魅力的なポイントを写真つきで社内に配信したり、お客様にご提供できる建物紹介のリーフレット作成などを手がけたりしてきました。
これによって、同僚たちに、建物への誇りの意識を広めることができたかと思います。

オークラランタンをじっくり眺めることができる2階

本館のなかでも、多くのお客様に愛着を持っていただいたのがロビー空間です。
おかげさまで、日本の良さと世界の一流ホテルの魅力を融合させた「世界のどこにもない空間」と言われてきました。
ほのかに暖かいランタンや、梅の形に配置されたテーブルと椅子などが、独特の「和」の落ち着きを醸し出していますし、四季折々、日中も光線の角度によって様々に空間の表情が変わります。
このスペースには、ホテルオークラ創業時の社長で、世界各地の一流ホテルを泊まり歩いた経験を持つ野田岩次郎(1897-1988)が唱えた「ホテルのロビーは街のコミュニケーションの場。地域に開き、誰でも憩える空間にする」というポリシーが詰まっています。どなたにも立ち寄っていただきたい、という想いからロビーコンサートなども継続してきました。
本館建物に込められたこうした想いの数々を、これからも変わらず継承していきたいと考えています。
新装後、「よくぞやった」とお客様に褒められつつ、ロビーコンサートを再開するのが、今の私の夢です。

※2019年 新本館オープン予定

株式会社ホテルオークラ東京 営業企画部 部長
服部 崇氏
同社で営業、広報などホテルの魅力を発信してきた経歴から、社史制作や今回の閉館カウントダウン企画も指揮する。
HP:http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/

館内写真

  • オークラランタン

  • 建て替え前の最後の見学会の様子

  • 芸術的なタイルの階段室