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- 建物を支える人に会う-
オランダ王国大使公邸 バス・ヴァルクス氏インタビュー

以前の執務室

オランダ王国大使公邸は、緑に囲まれた瀟洒な洋館で、中に入ると重厚な趣の執務室(大使書斎)、ステンドグラスの美しい階段室、庭園から降り注ぐ陽射しが心地よいリビングダイニングの大空間が広がります。
ジェームズ・マクドナルド・ガーディナー*設計の佇まい そのままに使われている、この建物や庭園を誇りに思い、オープン・アーキテクチャーでの数回に渡る見学会で、毎回、解説役を担って下さっているオランダ大使館のバス・ヴァルクスさん (報道・文化担当)にお話を伺いました。

公邸の外観

オランダ大使公邸の建物は、関東大震災直後の1928年に建てられ、既に90年近く、この地に建ち続けている由緒あるものです。
また庭も、江戸以来の地形を活かし、深い緑陰を遺す大変素晴らしい雰囲気を持っています。
この敷地や建物は、オランダと日本のとりわけ長い友好関係を物語るシンボルだと考えています。
両国の歴史的な繋がりの証として、私たちは少しずつ修復しつつ、大切に維持してきました。
オープン・アーキテクチャーでは既に3回見学イベントを行いましたが、私たちが誇りに思っているこの空間を多くの方にご紹介できることは、私たちにとっても嬉しいことです。
クローズドなイメージが強く、セキュリティが厳しいので、参加者は緊張した表情で来館されます。でも、見学して帰る頃には皆、笑顔です。その笑顔こそが私たちの遣り甲斐です。

チェアーセット「Sushiコレクション」

現在、公邸・迎賓の場として積極的に活用しています。近年、インテリアも一新しました。
例えば、このチェアーセットは、オランダのインテリアデザイナーであるエドワード・ファン・フリート(1965-)の作品で、日本の飾りにインスピレーションを得た「Sushiコレクション」といわれるユニークなものです。
こうして、歴史的な建築を活かしつつ、そこに現代的な息吹をもたらし、オランダアートのショールームとしての表情を見せて行くことで、この建物の魅力をさらに高めていこうと考えています。ここは、伝統と革新、オランダと日本の接点を紹介する特別な空間です。

当大使館では、定期的な庭園公開も独自に開催しています。
2011年から毎年開始し、現在では3千人以上の方が来館されます。
こうした公開イベントを行うと、オランダのファンになって帰られる方もいます。
オランダと日本は、ビジネスの上でも大切なパートナーです。
これからも、歴史的な建物を舞台に、オランダの魅力を紹介し、日本の皆さんに親しみを持っていただけたらと考えています。 

*ガーディナーは、明治東京地震で立教学校校舎などの初期作品が被害を受けて以来、建物の耐震性に配慮した設計を行ってきた。さらに、関東大震災の後に建てられた同施設は、デザインも然り、当時の耐震技術を駆使した堅牢さを維持している。

※非公開(2016年現在)

オランダ王国大使館 広報・政治・文化部
バス・ヴァルクス氏
日本滞在歴15年(2007年より同大使館勤務)。現在、主にデザイン・建築や文化遺産の分野 で日蘭の文化交流促進に努める。
HP:http://japan-jp.nlembassy.org//

館内写真

  • 公邸の庭

  • 広いエントランスロビー

  • クラシカルな階段室