KAAT神奈川芸術劇場、東京芸術劇場のリニューアルなど、様々な劇場のデザインを手掛けている建築家香山壽夫が初めて挑んだ劇場建築。
光の陰影を巧みに用いた繊細で優美な空間づくりは、設計者が師事したルイス・カーンの建築を彷彿させます。
「都市はまず集まる場所を必要とするのである」と設計者は語っています。
その思想の通り、敷地内の至るところに「人が集まる所」が配置されています。
まるで一つの都市のような劇場、そんな表現がぴったりとくる建物です。
ガラス天井から自然光が射込む、長さ100mにも及ぶ「ガレリア」は
人々が自由に行き交う通路でありながら、じつは稽古場が並ぶ舞台裏でもあるという「表と裏」が交差するスペースなのです。
円形劇場「ロトンダ」を内部から見上げると、まるで天からの光が届いているような空気に包まれます。ガラスの光庭を背景に、時に市民の芸術の舞台が生まれます。この建築は誰もが主役!と感じさせる刺激的な試みが随所に見られます。
今回は特別に、建物の「つくり手」である香山壽夫建築研究所所員と、「つかい手」である劇場スタッフの両者の想いを聴きながら、じっくりと見学します。
「なるほど、そういう意味があったのか」という発見が連続する90分を、ぜひお愉しみください。
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埼玉県さいたま市中央区上峰3−15−1
竣工:1994
設計:香山壽夫建築研究所
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